ラオス人との国際結婚 書類手続き解説 #2 (ラオス地方編)
- 全体の流れ
- ラオス側での手続きの概要
- 手続きのおおまかな流れ
- 都度支払う費用について
- ラオスで役所へ行く際の服装
- 結婚相手の出身県の役所へ行く
- 日本人が揃える書類のリスト
- 最短ルート?
- 【解説】書類の準備~手続き方法
- 首都ビエンチャンへ移動する前に...
- その他余談
全体の流れ
ラオス人との国際結婚の手続きについて、4記事に分けて解説します。
- 手続き#1 日本国内での準備編
- 手続き#2 ラオス地方編 ←本記事で解説するのはこちら
- 手続き#3 ラオス首都編
- 手続き#4 日本での婚姻届
ラオス側での手続きの概要
ラオス側での手続きのおおまかな流れをまとめました。
書類作成&再作成の繰り返しだけでも大変なのに、各役所の担当者によってアタリ・ハズレが大きく、書類の受け取りに数日待たされたり、デタラメな指示(&賄賂の要求コンボ)など、手続きには相当な根気がいります。めげずに頑張ってください。
手続きのおおまかな流れ
- 県役所で必要な書類一式のリストを入手する
- 必要な書類を作成、ラオス語に翻訳する
- 結婚相手の出身村へ行き、村長に会い結婚の許可をもらう
- 結婚相手の出身村の警察と面談し、ラオス人用の書類に必要事項を記入してもらう
- 結婚相手の出身県の警察(入国管理局)と面談し、レターを作成してもらう
- 結婚相手の出身県の役所で書類承認を得て、レターを作成してもらう
- 首都ビエンチャンの外務省領事部へ書類を提出し、承認印をもらう
- 首都ビエンチャンの入国管理局へ書類を提出し、公安で審査を受ける(約6ヶ月)
- 首都ビエンチャンで許可証をもらい、結婚相手の出身県の役所へ提出し、結婚証明書をもらう
(上記終了後、日本の婚姻届を提出する)
都度支払う費用について
基本的には、すべて領収書を発行してもらえます。
領収書に記載されている金額は、公式な金額です。
それ以外の支払いが発生するとしたら、「袖の下」ということになります。
ラオスで役所へ行く際の服装
男性の場合、役所往訪時にハーフパンツやサンダルは禁止されているそうで、ロングパンツ&靴を着用して行きましょう。
女性の場合、ラオス式のスカートを着用するそうです。
結婚相手の出身県の役所へ行く
結婚に必要な書類の要件は、地域により異なるようです。
両国の大使館へ聞いても正確にはわかりませんので、必要書類一式を正確に把握するために、まずは結婚相手の出身県へ行きましょう。
私の場合は、ラオス北部のルアンナムタ県でしたので、ルアンナムタの地図をGoogleマイマップで作成しました。
県によって、往訪すべき局・課が、県庁の合同庁舎に入っているのか、別の建物なのかはわかりませんが、組織名で探してみてください。
ルアンナムタの役所マップ
まずは、県役所のDivision of Home Affairsへ行きます。
ルアンナムタの場合、Division of Home Affairsはこちらになります(Googleマップで開く)。
ラオス側での手続きは、ここがスタート&ゴール地点になります。
ラオス人・日本人の手続きに必要な書類を入手します。
ルアンナムタ県ではこれが必要書類のリストになります。
上の12点がラオス人に必要な書類、下の13点が日本人(外国人)に必要な書類です。
日本人に必要な書類のうち1点は、最後にもらえる証書なので、日本人が準備を進める必要があるのは12点です。
ラオス人は、役所指定の書式に記入しないといけませんので、書類フォーム一式を購入します。
全部で50,000kipぐらいだったと思います。
また、手続きを進める中で押印間違えなどがあった場合は、必要な書類フォームをこちらで再度購入します。
バラ売りだと10,000〜20,000kip/枚ぐらいです。
領収書をもらいましょう。
日本人が揃える書類のリスト
- 結婚申請書
- 履歴書
- 戸籍証明書
- 婚姻要件具備証明書(独身証明書)
- 親族の同意書
- 健康診断結果
- 犯罪経歴証明書 ※発行から6ヶ月以内
- 離婚した場合にラオス人の帰国を保証する宣言書
- パスポート
- 在職証明書
- 日本大使館の意見書
- 写真(3cm*4cm) 6枚 ※6ヶ月以内に撮影したもの
すべての書類には、ラオス語訳を付ける必要があります。
そして、すべての書類(原文・訳文)について、ラオスの法務局で翻訳承認印を押してもらう必要があります。
全部の書類のラオス語訳が揃ったら、セットにして法務局で翻訳承認をもらいましょう。
最短ルート?
私は手探りで進めたので、何度か日本とラオス(ルアンナムタ)を往復しながら準備を進ましたが、最短で進めようと思うと以下の手順になると思います。
- 「書類7.犯罪経歴証明書」を持参して、県役所で開封してもらい、ラオス語訳の作成指示を受ける
- 結婚相手の「住居証明書」、「独身証明書」、「パスポート」(いずれも原本およびコピー必要)を預かり、首都ビエンチャンへ行く
- 結婚相手の「住居証明書」、「独身証明書」については、翻訳会社で英訳してもらう(法務省での承認印は不要)
- 在ラオス日本大使館で、「婚姻要件具備証明書」、「戸籍記載事項証明書」(ともに英文)を発行してもらう(1営業日)
- ラオスの病院で健康診断を受ける
- 残りの書類を英語で作成&翻訳会社でラオス語訳を作成してもらったうえで、全書類に関して法務局で承認印をもらう
- 結婚相手(ラオス人)の書類も法務局で承認印をもらう
- 結婚相手(ラオス人)の出身村で村長、警察と面談(アポイントに数日かかる)
- 結婚相手(ラオス人)の出身県で、警察(入国管理局)と面談し、レターを作成してもらう(アポイントに数日かかる)
- 結婚相手(ラオス人)の出身県で、役所に全書類を提示し、首都ビエンチャンの役所宛のレターを作成してもらう
- 首都ビエンチャンの外務省で全書類を提出しチェックを受け、「婚姻要件具備証明書」(英語・ラオス語2点)の裏面に外務省の確認印をもらう(たしか3〜5営業日ほど)
- 首都ビエンチャンの入国管理局で書類確認を受け、公安で審査を受ける(約6ヶ月待ち)
- 証書を結婚相手(ラオス人)の出身県の役所へ持って行き、結婚証明書を発行してもらう
【解説】書類の準備~手続き方法
各書類の準備
書類1.結婚申請書
書類2.履歴書
書類5.親族の同意書
書類8.離婚した場合にラオス人の帰国を保証する宣言書
ラオス人は指定の書類に記入しますが、外国人(日本人)は形式自由です。
記載内容がわからない方は、コメント欄でご相談ください。
MS-Wordなどで英文で作成し、翻訳会社でラオス語に翻訳してもらいます。
(英語で作成出来ない方は、費用が余計にかかりますが、日本語で作成したものを英語訳・ラオス語訳でお願いしましょう。日本語→ラオス語訳だと、ラオスの法務局で翻訳承認してもらえないかもしれません)
履歴書のラオス語訳は、その後の手続きで何かと役に立ちますので、手続きの最中はコピーを常に手元に置いておきましょう。
翻訳会社は、何社かで見積もりをとりましたが、株式会社アミットに依頼しました。依頼分量にもよりますが、3万円程度でした。
分けて発注すると、都度、基本料金+翻訳証明書料金が発生しますので、全書類をまとめて1回で依頼しましょう。
翻訳証明書は、全書類一式に対して1通作成してもらえば大丈夫でした。
結婚相手の「住居証明書」、「独身証明書」も、一緒に英訳してもらうとよいです。
英語・ラオス語ともに自筆で署名・捺印をします。
「書類5.親族の同意書」には、日本の両親の署名・捺印をもらいますが、男性兄弟がいる場合は、男性兄弟(自身を除いて上から2人程度)の署名・捺印もあったほうがスムーズかもしれません。
結婚相手(ラオス人)の書類にも、日本人側の親族の署名(自身を除いて2名以上いる場合は2名分)が必要になるのですが、私の家族構成を話したところ、両親ではなく、父親・長男の署名・拇印をもらってくるよう指示されました。
書類3.戸籍証明書
書類4.婚姻要件具備証明書
書類11.日本大使館の意見書
首都ビエンチャンにある在ラオス日本大使館で作成してもらえます。(※発行から3ヶ月以内の「戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)」または「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」が必要です)
ラオス首都編で作成手順を記載します。
なお、筆者は、右も左もわからなかったので、日本の市役所で「独身証明書」を発行してもらい、「戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)」とあわせて英語訳・ラオス語訳を揃えて、出身村での手続きを進め、手続き終盤に首都ビエンチャンの日本大使館で書類を入手しましたが、それでも問題なく進められました。
ただ、大使館で発行してもらえる書類3点セットを使ったほうが楽だと思います。
書類6.健康診断結果
ラオスの病院で健康診断を受けましょう。
血液検査があり、診断書の英語を見た限りではB型肝炎や梅毒の検査も行うようです。
ラオス語で診断結果をもらえるので、翻訳不要でそのまま使えます。(診断結果には顔写真を貼り付けます)
私は結婚相手(ラオス人)と一緒に出身村で検査を受けました。
費用は50,000kipでした。領収書が発行されます。
私は、日本の会社で受けさせられる定期健康診断の結果に関して、追加費用を支払って英文の診断結果も用意していましたが、結果使うことはありませんでした。
各種のウィルス感染(B型肝炎、C型肝炎、HIVなど)についての検査結果なら役に立つかもしれませんが、身体測定や視力・聴力の検査結果を翻訳してもあまり意味がないのかもしれません。
書類7.犯罪経歴証明書 ※発行から6ヶ月以内
前の記事で書いた方法で準備し、翻訳会社にラオス語訳を依頼しましょう。
複数の言語で同じことが書かれていますので、英語部分のみラオス語に訳してもらうようお願いすればOKです。
書類9.パスポート
在日ラオス大使館では、「パスポートはそのままで大丈夫ですよ」と言われましたが、実際には翻訳が必要でした。
顔写真のページのみで、名前や旅券番号、発行日、有効期限などをラオス語に訳してもらいます。
ルアンナムタで、外務局(外務部?)で訳してもらいました。費用は50,000kipです。
ルアンナムタの場合、Foreign Affairs Departmentはこちらになります。(Googleマップで開く)
その他、パスポートの全ページのスキャンも用意していきましたが、これは最後まで必要なかったです。
書類10.在職証明書
会社に依頼して、私自身で英語の文案を作成し、発行してもらいました。
前年の給与所得を、日本円・USドル・タイバーツ・ラオスキープ建てで併記し、会社の角印を押してもらいました。
これを翻訳会社に依頼してラオス語に翻訳してもらいます。
会社が「日本語でしか出せないよ」という方は、日本語文書の英語訳・ラオス語訳を両方用意するとよいです。(日本語→ラオス語訳では、ラオスの法務局で翻訳承認をしてもらえない可能性があります)
一応、銀行の預金残高証明書も英文(残高はUSドル・タイバーツ建ても併記)で用意していたのですが、必要なかったです。
書類12.写真(3cm*4cm) 6枚 ※6ヶ月以内に撮影したもの
リストには6枚とありますが、手続き開始時点で合計10〜12枚ほどあるとよいです。
手続きを進める過程で、健康診断書や警察での書類作成などで顔写真の提出が必要になります。
最後にビエンチャンのImmigration Officeで書類を提出する際に写真が6枚以上残っていればOKです。
最後に枚数が足りなければ、ラオスのコピー屋さんで安価に焼き増しできます。
法務局で書類に承認印をもらう
ルアンナムタの場合、Department of Justiceはこちらになります。(Googleマップで開く)
各書類について、ラオス語・英語をセットにしてホチキス留めしましょう。
私の分の書類は620,000kip、結婚相手の分の書類は700,000kipかかりました。領収書をもらいましょう。
結婚相手の出身村(郡)へ行く
結婚相手の出身村へ全書類(ラオス人・日本人の書類全部)を持って行き、Village Chief Officeでラオス人側の書類の村長署名欄に署名・村長印を押印してもらいます。
私の場合、結婚相手が村長の近い親族でしたので、挨拶して気付いたら村長の署名・押印が終わっていました。
その後、村役場(District Administration Office)へ書類を持って行き、確認を受けます。(1枚ぐらい書類を記入してもらったかもしれません)
なお、法務局の承認印が押されていないと、受け付けてもらえません。
私は最初にこれを知らず、村⇔県の山道(片道4時間コース)を1往復余計に味わい、大変良い経験になりました。
村の役場で書類確認が済むと、村の警察(District Police Headquarters)との面談のための日程調整が始まります。
小さな村でしたので、役場の方も警察の方も、大体は結婚相手の兄の友人だったので、調整はスムーズに進みました。
ラオス語が大して話せないので、書類を見られて、結婚相手と兄に受け答えをしてもらいました。
警察の方には600,000kipを支払い、書類に記入してもらいました。(領収書なしでした)
結婚相手の出身県へ戻る
村での手続きは一通り終わったことを、県役場の方へ伝えます。
次に、ルアンナムタ県のImmigration Office (Foreigners Control)での面談があるので、それを受けに行きます。
ルアンナムタの場合、Immigration Officeはこちらになります。(Googleマップで開く)
ここでの面談が終わると、続いて県警察との面談の日程調整が始まります。
県中心部に滞在しながら電話を待ち、「○曜日の○時にどこどこへ行くように」との指示を受けます。
行き先は県中心部のImmigration Officeではなく、ソンテオで20〜30分の離れた場所でした。
作成して持参した書類の内容について、色々と確認をされながら、パソコンで書類作成が進められます。
馴れ初めから、自分の兄弟の名前・住所、通っていた大学の所在地などについて聞かれ、それがパソコンに打ち込まれていきます。
出来上がった書類を受け取り、1,000,000kip支払い、領収書をもらいます。
再度、県役場の担当者へ、一通りが終わったことを報告します。
続いて、首都ビエンチャンの役所宛てのレターを作成してもらいます(5営業日ほどかかります)。
この手続きも、1,000,000kipかかるので、支払って領収書をもらいます。
このレターと全書類を持参して、首都ビエンチャンへ行きます。
首都ビエンチャンへ移動する前に...
結婚相手(ラオス人)の犯罪経歴証明書の残り期限を確認してください。
ビエンチャンで手続きをする際に、残り期限が短いと、「公安での審査に数ヶ月かかるから、新たに犯罪経歴証明書だけ取得し直してきて」と言われてしまいます。
日本人の分は、ビエンチャンでの提出時に6ヶ月経過していなければ大丈夫だそうですが、ラオス人の分だけは取り直しが必要だそうです。
もう一度法務局へ行き、結婚相手の分の犯罪経歴証明書を新たに発行してもらいましょう。(私はこれだけのためにビエンチャン⇔ルアンナムタを余分に1往復させられました)
その他余談
ルアンナムタ県役所の方々には、本当に色々と助けられました。
この記事では、手続きの流れだけざっくり書きましたが、実際には途中、ルアンナムタ県のImmigration Officeで相当苦戦しました。
具体的には、Immigration Officeの受付(若い警察官)に書類を見せたところ、書類の記入方法について細かな指摘を受け、「これでは面談は受けられない」とNGを出されました。
やれ、署名欄はパスポートと同じサインではなくラオス語で書け、などの指摘です。
結婚相手の書類に関しても色々とダメ出しをしてきます。
途方に暮れて、県役場の方へ相談(というか渋々新しい書類フォームを買いに)行ったら、「それは袖の下欲しさにイチャモンつけているだけだ」と教わりました。
「Immigration Officeにいま電話してやる」ということで、県役場の方から話をつけてもらい、20分ほど抗議の電話をしていただいた結果、書類を作り直すことなく、また、警察に袖の下を支払うこともなく、決着がつきました。
(署名欄の横の余白に、英語・ラオス語でも署名を書く、などの追記をするだけで済みました)
ちなみに、手続きの序盤〜中盤頃ですが、県役場の担当者の方々4〜5名と一度飲みに行きました。
とある金曜の午後、役所の庭でスタッフ全員で納会のようなものを開いていたのを見かけたので、ビール瓶を持参して混ぜていただき、そのまま夜も飲みに行きました。
何かとお世話になることも多いと思って、先にお礼を兼ねて男気会計をしましたが、あのときの日本円で2,000円もかからない程度の実弾攻撃交流の機会のおかげで、色々と親身になって助けてもらえたのかな、とも考えています。
東京の飲み屋街で鍛えられたノミニケーション能力が役に立ちました。
なお、飲み会のときに聞いた話ですが、その担当者の知る限りでは、ルアンナムタ県ではここ数年、日本人とラオス人との結婚事例はないとのことでした。
「それでも、タイ人や中国人がラオス人と国際結婚した事例はたくさんあるから、Youも頑張りな!」と励まされました。