【ラオス国際結婚】日本での配偶者控除の手続き 書類手続き解説
国際結婚をし、外国に居住する配偶者がいる場合の年末調整(配偶者控除)の手続き方法に関してです。
所定の手続きを行うことで、配偶者控除(最大で10万円ちょい)を受けることができます。
筆者のケース
筆者(日本人)は日本国内企業における常勤雇用者
筆者の勤務先の会社で年末調整を行う
→ 勤務先で年末調整を行ったあとに確定申告を行う場合も追記しました
対象者
当年の12月31日時点で婚姻関係にある状態
給与収入が約1,200万円以下、給与所得(収入から給与控除を引いた額=手取り)が約1,000万円以下
配偶者の収入が38万円以下(※38万円超123万円以下の場合は「配偶者特別控除」を受けられる)
【参考にした資料】国税庁資料
国税庁 2015年9月付(2018年1月改訂)
国税庁 2015年9月付(2018年1月改訂)
【解説】勤務先へ提出する書類一式
以下の4点の書類を記入・作成し、勤務先へ提出します。
書類1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
「主たる供与から控除を受ける」の欄の「A 源泉控除対象配偶者」に配偶者の氏名、生年月日を記入する。(戸籍謄本と同じ表記で記入しましょう)
「当年中の所得の見積額」に配偶者の所得見積額を記載。(筆者の場合は配偶者に収入がないため0円と記入)
「非居住者である親族」に○を付ける。
※筆者の勤務先の場合、「生計を一にする事実」はここでは記載不要でした。(書類2.配偶者控除等申告書に記入)
「住所」に、ラオス国における住所を記入。
後述しますが、書類3.親族関係書類として、ラオスでの現住所を確認できる書類の提出が必要になります。
筆者の場合、ラオス国発行の婚姻証明書に記載された、配偶者のラオスでの住所を記入しました。
(婚姻届の際に書いた配偶者のラオスでの住所と同じものです)
「異動月日及び自由」には「平成○年○月○日 婚姻」と記入。
書類2.給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者の「氏名」、「住所」、「生年月日」は上記1.と同様に記入。
「非居住者である配偶者」に○を付ける。
「生計を一にする事実」には、当年の送金金額を日本円で記載します。
金額は、後述の書類4.送金関係書類に該当する書類に記載された金額となります。
手渡しで渡した現金等の金額は記載しません。
国税庁資料を見ると金額に関する基準(〇円以上でないといけない、など)はないようです。
書類3.親族関係書類
国税庁資料を見ると、親族関係書類としては、以下①または②のいずれかと書かれています。
①戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポートの写し)
②外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
(例:戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書)
前者①は、日本人の配偶者が国外居住の場合に用いられるようです。
外国人配偶者の場合は後者②を用います。
筆者は、ラオス政府発行の婚姻証明書にしました。
※日本で婚姻届を提出する際、筆者の場合は、本籍地の市役所に直接提出をすると、婚姻証明書の原本を返してもらえないと言われました。在ラオス日本大使館で婚姻届を提出する場合は、婚姻証明書のコピーを1部多く提出すれば、原本の返却を受けることができましたので、これを各種の手続きに活用します。
国税庁資料によれば「原本の提出又は提示」が必要ですが、筆者の場合は勤務先へ確認したところ、「原本の提示」(写しを勤務先に提出)でよいとのことでした。
婚姻証明書に記載された氏名・生年月日・住所の日本語訳が必要ですが、これは自身で作成した抄訳でもよいようです。
書類4.送金関係書類
国税庁資料を見ると、送金関係書類としては、①外国送金依頼書の控え、②クレジットカードの利用明細書などが例示されています。
筆者は、②クレジットカードの利用明細書の写しを提出しました。
日本で婚姻成立後、日本のクレジットカード会社で配偶者の名前の「家族カード」(年会費無料)を作成しましょう。
配偶者に、現地でのカード利用実績を作ってもらいましょう。
提出する書類は以下2点です。
- 家族会員カード分の利用明細書の写し
- 利用した家族会員カードの本会員が自分自身であることが確認できる書類の写し(家族カード発行時の台紙の写し)
なお、ラオス国内では、首都ビエンチャンであればクレジットカードが使える場所もありますが、地方ではクレジットカードを使える場所が限られることがあります。
配偶者がラオスから近隣諸国(タイ、中国、など)に日帰り or 短期往訪して生活用品を購入する際に、クレジットカードを利用することがあれば、それを送金関係書類として提出する方法もあります。
(例:近隣諸国で生活家電・衣類を購入する際に決済として利用、近隣諸国の通信用SIMカードへWeb上からチャージする際に利用、など)
国税庁資料によると、年間の送金金額が少額の場合、勤務先の人事担当者が、生活費または教育費に該当する支出であったかを確認するようなので、生活費の支出の際に決済手段として家族会員のクレジットカードを利用した旨を説明しましょう。
カード利用明細だけでは内容が確認できないと言われる可能性もあるので、実際に購入した商品とレシートをセットで写真撮影し、生活のための出費であることを説明する方法が、より確実かもしれません。
【参考】おすすめクレジットカード
配偶者の家族カードを作成する必要がありますが、クレジットカード会社によっては「同居家族以外は発行不可」、「本会員と姓が異なる場合は発行不可(配偶者の両親、外国人配偶者の場合)」等の理由により、外国人配偶者の家族カードの発行を断られる場合があります。
すでに利用中のカード会社で家族カードの発行をする場合、申し込み時にコールセンターへ問い合わせし確認すれば、事前に発行可否の確認が可能です。
以下では、筆者が申し込みをした実績をもとに、家族カードの発行ができたクレジットカード会社、できなかったカード会社を紹介いたします。
- 三井住友トラストカード: 配偶者の家族カード○ 配偶者の両親の家族カード×
- TRUST CLUBカード: 配偶者の家族カード○ 配偶者の両親の家族カード○
- VISA LINE Pay(三井住友カード): -(確認中)
- GLOBAL PASS: ×(非同居の場合)
- 楽天カード: ×(同性の家族のみ)
カード会社によっては、配偶者の家族カードだけでなく、配偶者の両親(姻族1親等)の家族カードも発行可能なようです。
配偶者の両親(国外居住)と生計を一にしている場合、扶養控除手続きの際に家族カードの利用履歴を活用することも可能です。
確定申告を行う場合(2019年2月11日追記)
勤務先で年末調整を行った方でも、以下のような条件に該当する場合は確定申告を行います。
- 雑所得が年間20万円を超える場合(株式やFX等)
- 一時所得が年間50万円を超える場合(保険金受取等)
- ふるさと納税を6か所以上の自治体に行った場合(ワンストップ特例制度を用いない場合)
- 医療費が年間10万円を超え医療費控除を受ける場合
「非居住者である親族」について控除を受ける場合は、確定申告を行う際にも、年末調整と同様に申告を行います。
「親族関係書類」および「送金関係書類」の添付に関しては、国税庁資料では以下のように注意書きがあります。
【注】 確定申告において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合にも、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示する必要があります。ただし、給与等若しくは公的年金等の源泉徴収又は給与等の年末調整の際に源泉徴収義務者に提出し、又は提示したこれらの書類については、確定申告書に添付又は提示を要しないこととされています。
なお、確定申告の手続きは、マイナンバーカードとPCに接続するカードリーダーがあれば、e-taxで申請が可能です。
e-taxを利用すると、税務署まで行かずに、確定申告の期間中は24時間、自宅から申請できます。
e-taxで確定申告を終えると、「親族関係書類」と「送金関係書類」を添付するよう表示されますが、勤務先で年末調整を済ませている方は、国税庁の資料に書かれたとおり、添付または提示しなくてよいようです。
確定申告の状況(2021年3月6日更新)
2018年分、2019年分に続いて、2020年分の確定申告も、2021年1月にe-taxで申請が完了しました。